読み歩き亭

歩いて、片づけて、寝ています。

『少しの努力で「できる子」をつくる』池田清彦(講談社文庫)の感想

 

概要

 

 最小の労力で最大の効果を上げる子育て術を生物学者が伝授する。やるべきことやるべきこと、やっていはいけないことリスト付き。

 

ミラーニューロンが大切

 ミラーニューロンとは、他の個体の行動を見ているときと、自らが行動するときの両方で活動電位を発生させる神経細胞のこと。お母さんが楽しそうな行動をして、そ

れを子供もやりたがってミラーニューロンの回路が発達する。真似ることが学ぶことにつながる。親の幸福感が赤ちゃんに沁みこんでいき育児と教育の土台となる。

 このことから筆者は放置は犯罪だと断言していて、父親が飲み物と食べ物を与えるだけで子供を放置していた「ジーニーの悲劇」を紹介している。

 俺も1歳児に食べ物を与えるとき、黙々とただ食べさせていたら、母から「あんた!話しかけるかなんかしなさいよ!」と言われたが、あれも大事なことだったんだね。

衝撃的な逸話

 数十年前の話。お父さんがわが子を病院に連れて行くと、心臓病で助かるには大金が必要だとわかる。お父さんはしばらく考えて、「分かりました。この子は諦めてもう一人作ります」と答えたそうだ。

 うーん、現代日本ではなかなか出てこない発想。

子供同士の遊びが必要

 子供は、子供同士で遊ぶことで社会性を鍛えていくのに、今はその機会が少なくて問題と筆者は強調していて、同感。児童館も大人のコントロール下だし。多少のリスクはあっても、我が子を外に出す勇気が個々人に必要なのかも。

追記

 他にも、いじめ問題に対する根本的な対処法などが書かれている。楽しく読めて、子供を作り育てていくことへの恐れを減らしてくれる本だった。

すこしの努力で「できる子」をつくる (講談社文庫)

すこしの努力で「できる子」をつくる (講談社文庫)