読み歩き亭

歩いて、片づけて、寝ています。

読書

「つぎはぎ仏教入門」呉智英(筑摩書房)を読んだ

学生の頃、「ブッダのことば」(岩波文庫)を読み、そこに繰り返される「犀の角のようにただ独り歩め」という言葉に痺れた。 その後、葬儀や墓参りで訪れる寺院を見上げて、「ブッダのことば」とは随分印象が違うな、とよく思った。 立派な建物が多い。明ら…

「ショージ君のほっと一息」と週刊文春の感想

「ショージ君のほっと一息」 特に興味深かったのは1976年の「猪木アリ戦」ルポ。 総合格闘技が一般化してからは、格闘技好きの間ではそれなりに評価されている一戦ではあるけれど、当時の大多数の日本人がどのように観戦し、落胆したのかがよくわかる。…

「ショージ君の青春記」を読む

作者の幼少期から漫画家になるまでのストレートな青春記。 もてない男子のさえない日常がつづられる。 基本的には笑って読める。 しかし、最終章「漫画行商人」は、やや苦みが強い。 大学を留年し、なんの展望もなく、モラトリアムの焦燥の中で銭湯に行き、1…

次男がタイルカーペットにみそ汁をこぼした

仕事の都合でカミさんが早朝からいなかった。 息子3人に飯を食わせて、長男は小学校へ送り出し、次男三男を保育園に送っていかなければならない。 早く食えとか、給食セットを用意しろ、などと言って、まず長男を家から出してやる。三男は自分で食べたがるが…

ワールドカップ日本対コロンビアを見ていて

水曜断食、59日目 対コロンビア戦を見ていて、「サッカー選手ってカッコいいな」と思った。かなりアホみたいな感想だ。小学生か。 もちろんゲームに興奮し、勝利を喜びもした。そのことを抜きにしても、単純に選手の精悍で研ぎ澄まされた肉体に感服した。…

「ショージ君の面白半分」を読む

断定の妙 東海林さだおの本で多用される断定。その一例。 宴会の客は、元を取ることばかり考えている。 客は会費分飲み食いしただろうか、という不安に四六時中つきまとわれる、と断定する。 そんなことまったくない、という人もいるかもしれないが、大半は…

ダイエットも年をとる

水曜断食、52日目 伊藤理佐著「なまけものダイエット辛口篇」を読む。 若いころは「痩せてる」と「太ってる」の分かれ道を主に考えているが、40代になると「要介護」と「介護されない」という新しい分かれ道が現れる、とある。他にも「ヒザ」「シラガ」「…

本屋で後ろから「俺も焼きが回ったな」と聞こえてきた

振り返ると大学生くらいの男性客2人連れだった。 岸本佐知子著「気になる部分」に出てくるヨコスカさんを思い出した。 ヨコスカさんは「さりとて」という言葉に異常に感じやすく、聞くと床をのたうち回る。 のたうち回りはしなかったが、俺も本屋で少しゾク…

寝る前に読んでやった本、5

次男が持ってきた本は「おじいちゃんとパン」 トーストにジャムやあんこなど甘いものをぬって食べるのが好きなおじいちゃんと孫の話。 食いたくなるからやめてくれ バターや砂糖もふんだんに使った甘いトーストが次々続々描かれる。絵も上手いので、滅茶苦茶…

町内会の掃除でモヤっとしたこと

うちの町内会はいくつかの班に分かれている。 俺の家は8班で全部で10班まである。各班にはそれぞれ8世帯くらいが所属する。 町内清掃の日になると班に割り当てられた場所を掃除したり、草を刈ったりする。 草むしりはきらいじゃないけど 問題は8班の人が…

そういえばサラミという食べ物があった

水曜断食、44日目 伊藤理佐の「ハチの子リサちゃん」を読んでいた。 そこに、「もしも時間が止まったら、お父さんが酒のつまみにしているサラミをまるごと食べたい」と小学生が妄想する場面があった。 食べたいものを考えるとき、サラミをあげる発想はなかっ…

そういえば昔は本に作者の住所が書いてあった

「ショージ君のゴキゲン日記」東海林さだお(文藝春秋)を読む 手元にあるのは昭和49年の第1刷。巻末の著者略歴に現住所が書いてある。かつては珍しいことではなかったが、現代ではありえないだろう。 筒井康隆のエッセイで、読者が家に尋ねてきていろいろ…

「傷ついたまま生きてみる」の感想

現在傷ついているわけではないけれど、近い将来傷つきそうな予感がするので読んでみた。 「傷ついたまま生きてみる」香山リカ(PHP文庫) 文庫版は2014年刊行。筆者は精神科医。 傷ついたことはさておいて、あなたがやりたいことがあったら計画を立て…

寝る前に読んでやった本、4

「哀愁の町に霧が降るのだ(上)」椎名誠(新潮文庫) 小学生の長男は喧嘩の本がいい、と言うのでこれにした。第4章の「吹きだまり高校の寒い春」から読む。 世の中にバカはいろいろあるが、バカにもランクと種類があって、大バカ、小バカ、純粋バカ、バカタ…

寝る前に読んでやった本、3

「ミッキーのクリスマスキャロル 」 保育園児の次男に選ばせたら、これを持ってきた。なぜ今クリスマス物と思うが保育園児はそんなものだ。 ディケンズのクリスマスキャロルをディズニーのキャラクターに置き換えた映画のノベライズ絵本。 登場人物のセリフ…

他人を批判するときは

「エブリシング」安野光雅(文春文庫) の中の「ファーブル代弁記」の項で安野光雅が、ファーブルを悪文と決めつけたアナトール・フランスとそれを不用意に引用した久野収を批判していた。ファーブルになり代わって弁明するというのが、「バキ外伝」の愚地独…

なぜ東海林さだおと沢木耕太郎は奥さんのことを書かないのか

「ショージ君のぐうたら旅行」(文春文庫) 「僕の棲む町」という項で、珍しく自分の家族のことに触れている。週に3日は別居婚だという話。美味しんぼの結婚の回を思い出した。 東海林さだおと沢木耕太郎は奥さんのことをほとんど書かず、娘さんのことはほん…

寝る前に読んでやった本、2

ドラえもん (6) (てんとう虫コミックス) 保育園児の息子に何を読んで欲しいかを聞くと「ドラえもんのマンガ」とのこと。本棚に一緒に行くと第6巻を自分で選んだ。 第1話「夜の世界の王様だ!」、第2話「流行性ネコシャクシビールス」、最終話「さようなら、…

寝る前に読んでやった本、1

読んでいて、泣きそうになって困った。 「お父さんのバックドロップ」中島らも(集英社文庫) 悪役プロレスラーの牛之助とその息子のカズオの物語。父のことを尊敬できないと言うカズオ。牛之助は黒人空手家「クマ殺しのカーマン」と対戦することになる。果…

「ショージ君のにっぽん拝見」の感想

ショージ君のにっぽん拝見 (文春文庫)作者: 東海林さだお出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1976/10/25メディア: 文庫この商品を含むブログを見る 東海林さだおのエッセイ第一作 夜食を食べながら東海林さだおのエッセイを読むのは、日常生活で最も廉価に手…

ダイエット本としての「バキ外伝拳刃」

「飢えこそが野生におけるベストコンディションなんだ」 この発想ですね。満腹だと眠くなるし、怠くなる。 本書の主人公の愚地独歩さんは無人島で虎と素手で戦いながら、こんなことを考えるわけですが、そこまで追い込まなくても、ハングリーに物事に挑んで…

金魚飼育の指南書としての「プロチチ」第4巻

金魚すくい 先日、息子たちがお祭りに行き、金魚をゲットしてきた。 300円で1回できる。600円払って、息子2人がチャレンジしたらしいが、1匹しか捕れず。 しかし、サービスで5匹追加してもらえたそうだ。合計6匹。 ということをメールで知らされ、「面…

『少しの努力で「できる子」をつくる』池田清彦(講談社文庫)の感想

概要 最小の労力で最大の効果を上げる子育て術を生物学者が伝授する。やるべきことやるべきこと、やっていはいけないことリスト付き。 ミラーニューロンが大切 ミラーニューロンとは、他の個体の行動を見ているときと、自らが行動するときの両方で活動電位を…

「医者に殺されない47の心得」近藤誠(アスコム)の感想

概要 医療とか薬とかあんまりいらないよ、と言う本です。賛否両論、毀誉褒貶いろいろあるみたい。 筆者の見解には8割がた賛成。といってもエビデンスに対して私自身が検証したわけではないし、検証するだけの医学的見識もないので単なる勘です。 あとは身近…

「まんが親」第1巻、吉田戦車

概要 「実録!漫画家夫婦の子育て愉快絵図」との惹句にある通りの 内容。いわゆる育児エッセイマンガであり、類書は数冊読んだけれど、 「まんが親」は読み返す頻度が異様に高い。他のマンガは1回読めば数年は読み返す気にならないが、「まんが親」は不思議…