読み歩き亭

歩いて、片づけて、寝ています。

「ショージ君の青春記」を読む

 作者の幼少期から漫画家になるまでのストレートな青春記。

 もてない男子のさえない日常がつづられる。

 基本的には笑って読める。

 しかし、最終章「漫画行商人」は、やや苦みが強い。

 大学を留年し、なんの展望もなく、モラトリアムの焦燥の中で銭湯に行き、1時間も風呂につかる23歳。そこからの懸命な脱出。

 まだ何者でもないころの東海林さだおが一人であちこちの出版社に持ち込みをする。そして何度も門前払いを食う。

 現実とのみっともない格闘が胸を打つ。

 東海林さだおであってすら

ぼくには、漫画の才能なんて全然ないのかもしれない

と思う日々があったのだ。

 青春期をとっくに過ぎたけど、現実との格闘がつづく身として、未だにこの本に背中を押される。

 

 これまでこのブログで取り上げてきた東海林さだお本と違い、書下ろしである。